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Study. 02
グローバルでローカル。「日本文化」をキーに
外国人宿泊者も地元住民も垣根なく集まれる、
「BUNKA HOSTEL TOKYO(ブンカ ホステル トーキョー)」

ビフォーアフター研究ビフォーアフター研究

劇的なコンバージョンを果たした施設や街を現地インタビュー取材・研究レポート。

研究発表

Study. 02
グローバルでローカル。「日本文化」をキーに外国人宿泊者も地元住民も垣根なく集まれる、「BUNKA HOSTEL TOKYO(ブンカ ホステル トーキョー)」

Before After

Shiori Kawamoto

第2回は、東京都浅草の商店街に1981年にできた7階建ての古いビルをフルリノベーションし、2015年にホステルとして生まれ変わった「BUNKA HOSTEL TOKYO(ブンカ ホステル トーキョー)」をご紹介します。
商店街のまさに入口に存在する好立地に以前あったのは、パチンコ屋さん。
今回はOPENから3年以上経った現在も高い稼働率を保ち続ける魅力的なリノベーションホステルについてお伝えします。


研究発表 Index
1. 「BUNKA HOSTEL TOKYO」とは?
2. インタビュー / きっかけ
2. インタビュー / リノベーションについて
2. インタビュー / アーティストと一緒につくること
2. インタビュー / 運営について
2. インタビュー / 今後の課題・展望
3. 建物内のようす
4. 研究結果まとめ

1. 「BUNKA HOSTEL TOKYO」とは?

今回ご紹介するホステルは、東京メトロ銀座線・浅草駅から徒歩約5分、浅草寺や仲見世、旧六区エリアに挟まれた商店街の一画にあります。
当時は多くがシャッター街となっていましたがBUNKA HOSTEL TOKYOのオープンによって、オフィスなどにコンバージョンしていたら起こらなかったであろう外国人の地域回遊性が生まれ、商店街一帯の活性化のきっかけをつくることとなりました。

【MAP】

客室は、明るい木で構成されたシンプル・ナチュラルな雰囲気。男女混合と女性専用フロアがあり遮光カーテンの仕切りを設えた2段式のドミトリー客室を中心に提供されています。1段式のドミトリー客室、シャワー・トイレ付きで2段式ベッドを4台備えたグループ用の個室もあります。フロアに無料のWi-Fiを備え、各ベッドにコンセント、読書ライト、ハンガー完備。一人一つ鍵付きロッカーが用意され、その中にバスタオルが入っています。全館禁煙。

Shiori Kawamoto

トイレやシャワーなどの水まわりは共用で、冷蔵庫と電子レンジが備え付けられたコモンキッチンとダイニング(7F)、コインランドリーを備え、1階に併設の「居酒屋ブンカ」では、日本酒やおそうざい、旬の食材を使った鍋などが食べられます。
夜の営業のほか朝食・ランチの提供もあり、宿泊者以外の人も誰でも入れて、人が集まる拠点となっています。

1階にスタイリッシュな居酒屋があります


【施設概要】
施設名称 BUNKA HOSTEL TOKYO(ブンカ ホステル トーキョー)
所在地 〒111-0032 東京都台東区浅草1丁目13−5
アクセス 東京メトロ銀座線「浅草駅」または「田原町駅」徒歩5分
都営地下鉄浅草線「浅草駅」徒歩5分 東武鉄道「浅草駅」徒歩5分 つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩1分
用途 ホステル(簡易宿所)
階数 地上7階
ベッド数 128床
付帯施設 居酒屋(49席)、ショップ
営業時間 平日・土曜:11:30〜14:00(ランチ)/ 14:00〜16:30(カフェ)/ 17:00〜23:00(ラストオーダー 22:30)
     日曜:11:30〜14:00(ランチ)/ 14:00〜15:30(カフェ)/ 16:00〜21:30(ラストオーダー 21:00)
敷地面積 244.31㎡
建築面積 203.66㎡
延床面積 996.55㎡
構造 鉄骨造
事業主 株式会社スペースデザイン
建物所有者 株式会社井門エンタープライズ
企画・設計・運営 UDS株式会社
ブランディング UDS株式会社、高橋理子
アートディレクション・VIデザイン 高橋理子
設計協力:TANIHA ARCHITECTS 宮崎晃吉・須藤剛
照明デザイン:スパンコール 村角千亜希
サインデザイン:ROWBOAT 田中裕亮
【既存建物基本情報】
用途 商業施設・宿泊施設
建主 ―
築年 1981年
リノベーション箇所 全体
設計期間 2015年1月〜2015年7月(約半年間)
施工期間 2015年8月〜2015年11月(約3ヶ月間)
問い合わせ先電話番号 03-5413-3941
管理運営 UDS株式会社(https://www.uds-net.co.jp/

2. インタビュー / きっかけ

今回は、「UDS株式会社」の運営マネージャーで、BUNKA HOSTEL TOKYO 支配人の長島めぐみさんと、企画・設計担当の菓子麻奈美さん、広報の原澤香織さんの3人にお話を聞かせていただきました。

オープン当初から運営に関わっていらっしゃる支配人の長島めぐみさん

それでは「BUNKA HOSTEL TOKYO」が完成に至るまでの経緯や現在の運営、建物のようすを伺っていきます。

― この場所でリノベーションをすることになったきっかけ、経緯を教えてください。

この場所はもともとパチンコ屋さんで、建物が位置する商店街も観光地にあるもののシャッターがおりているお店が多く、静かなところでした。2015年の年明けごろに「築30数年の建物をこの通りを活性化させてまちづくりに寄与できるような形で、有効活用したい」ということで、オーナーさんからご相談いただいたのがきっかけでした。

当時の写真。以前は「宇宙センター」というパチンコ屋で、閉店後は数年間シャッターが下りたままになっていました

そのときはどんな用途の施設にするか、誰が運営するかも決まっていませんでしたが、浅草で新しく事業を企画するということで最初は商業施設やオフィスの可能性もありました。ですがいろいろ検討した結果、延床面積が996㎡という規模感で、まちの活性化に繋がり、まちのニーズに応えられる施設はなにか考えると、宿泊施設がベターではということになり、オーナーさんにご提案しました。

ただホステルだけだと宿泊者だけの閉じた空間になってしまうので、1階はガラス張りで外から見える形にして、居酒屋という宿泊者以外の方にも使っていただける形でホステルと居酒屋を複合させました。

1階正面は全面ガラス張りで中が見えるようになっています

― なぜ、ホテルではなくホステルに?

ホテルではなくホステルにした理由は、ホテルだと個室一室あたりの面積が法律で決まっているため何部屋取れるか決まってきます。ですので、この限りあるスペースで運営していくにあたって、ホテルだと総数が少なくて収支面で成り立たないということで、部屋にベッドをたくさん収容することができるホステルにしました。それによって、客単価は低くなってしまいますが工夫を重ねて、収支面の問題をクリアしました。

― 「BUNKA HOSTEL TOKYO」の名前の由来はなんですか?

名前の由来というよりは、デザインのコンセプトとすごく関係があります。まずここは浅草という賑やかな観光地ということで、ちょっと感度が高い訪日外国人の方をメインターゲットにしようと決めました。
そうなってくると、やはり「日本らしさ」みたいなものを訴求していくことが必要になります。ただ、もちろん訪日外国人の方に対して、「赤ちょうちん」や「侍」などの分かりやすい和の表現をすることはできますが、それが「今の私たちが伝えたい日本らしさ」なのかと考えると少し違うような気がして。今を生きる私たちが自然に素敵だと思えることが現代の日本らしさで、それを伝えていきたいと思いました。その想いを込めて、今の私たちが良いと思っている表現=文化をそのまま名称とし、グローバルに通用するように、BUNKA と英語表記にしました。また、トーキョーという世界に通用する都市からの発信という意味も伝えたく、こちらもTOKYO という表記で加えています。
今を生きる私たち日本人が自然に素敵だと思えることが現代の日本らしさなんじゃないかというところから、そういう「わかりやすい和」は極力排除しました。

おはしや折り紙などさりげない「和」が随所に散りばめられています

そして、宿泊施設として何が一番大切で、現代の日本らしさかと考えた時に、「清潔感」であると考え、耐久性に優れて掃除もしやすい国産タイルがキーマテリアルとして出てきて、1階全体で使用しています。

1階フロント前にはブンカホステルができるまでの過程が掲示されています

― なぜ「居酒屋」だったんですか?

日本の文化を「食」で伝えるために居酒屋になりました。特に日本酒が売りのメニューになっていて、食を通して海外の方に日本を知っていただいています。

― 居酒屋っていうのも1つの日本の文化ですもんね。

日本酒以外にも、ウイスキー、焼酎のご用意も。女性にはカクテルがオススメ

リノベーションについて

― リノベーションをしてよかったことはなんですか?

商店街の入口として浅草のまちづくりに寄与する、というオーナーさんからのお題に応える形でオープンな場所にしたかったので、いろいろな人が出入りしやすい空間になるようにガラス張りで明るいつくりにしたのですが、当初描いていた理想の使われ方が、この数年である程度実現できたことがよかったかな、と思います。

― ここができたのをきっかけに商店街もどんどん活性化していったんですね。

実感するところはありますね。

― リノベーションをして特に苦労したことはなんですか?

リノベーションということで、建物の高さなどハードな部分が制限されていたことですね。
天井に太い梁が通っていたので、それらを避けて、快適性を保ちつつベッドをどのように配置するか、かなり時間をかけて熟考しました。実際にいろいろなゲストハウスや海外のユースホステルを泊まり歩いて体感しました。

そこで二段ベッドでカーテンが付いているだけだと隙間から中が見えて充分なプライバシーが保てないですし、長旅で海外から来た人が安眠できるのかな?と感じていたので、二段ベッドをただそのまま積むだけではなく上下で90度交差させて置くことで、二段ベッドでもある程度の快適とプライバシーを保てるようにしました。

1,000㎡弱の古い建物をフルリノベーションするにあたって、限られた予算内でどのように抑えるか、最低限の清潔感や居心地の良さをどのように保つかを考えるのに苦労しました。

ベッドを上下で90度交差させて置くことでプライバシー性が高く保たれますShiori Kawamoto

ベッドの構造の図面

― リノベーションで宿泊施設をつくることの面白さと難しさについて教えてください。

宿泊施設のおもしろさは、まちの中の一つの点にとどまらないで、他のまちや国から人が集まってこられること。そしてBUNKA HOSTEL TOKYOでいう居酒屋のような場所を作ることによって、そのまちの住人も気軽に来ることができます。
なので、図書館などの公共施設までは行かないけど、公共性が高めの場所づくりに寄与できること、やり方次第でさまざまな魅力を作れることが面白いと思います。

そして、難しさについて。運営を続けていくためにはお金が必要で収支をしっかり管理することは重要なことですが、つい目先のお金を生み出す物事をどう詰めこむかに思考が行きがちです。ですが、今の日本の文化をちゃんと伝えることはすぐに結果が出るものではないので、長い目で捉えてこの先もずっとこの場所があったらいいなとみなさんに思ってもらえる事が大事です。だからお金のことだけではなく、清潔で居心地が良くて日本文化を発信するこの場所を続けていくことが、やりがいがあると思っています。

アーティストと一緒につくること

最初の名称の由来のところでお伝えしたことの続きですが、やはり海外から来られる方は浅草というまちに「和」を求めてやってこられますし、この場所も和的な空間にすることが必要だと思いました。しかし自分自身が赤ちょうちんや侍というような「いかにも日本文化」に共感しきれない気持ちがあって、そうではなくて自分自身がいいと思う日本の感覚を海外の人に伝えたいと考えました。

それでどういう風に伝えられるか?というところで、主に着物を媒体にして作品を発表している、アーティストの高橋理子さんにご相談しました。
実は高橋理子さんは設計担当の菓子(かし)の大学時代の先輩で、作品や考え方が素敵でいつか一緒に仕事がしたいと思っていました。

*高橋理子(たかはしひろこ)さんとは?https://takahashihiroko.jp/
1977年生まれ。円と直線のみで構成された図柄により、独自の活動を展開するアーティスト。東京藝術大学で日本の伝統工芸全般、特に染織の歴史や伝統技術について学び、博士号を取得。現在は着物を表現媒体とした創作活動のほか、日本各地の伝統技術を持った工場や職人とのものづくりをおこないながら、国内外問わず作品を発表している。また、様々な企業や産地とのコラボレーションも多く、活動は多岐にわたる。


最初は相談ベースだったのですが、そのうちブランディングにも入ってもらうことになって一緒に作りました。
ただ、あまり空間にお金をかけられないという制限があり、1階部分は飲食店なのに簡素な雰囲気になってしまう中、「楽しそうな雰囲気!」をどう表現するかというところで、高橋さんのグラフィックのアウトプットで協業できました。具体的には、床の小さいタイルの円模様や、ロゴマークもデザインしてもらいました。
ロゴマークのタイルの円は集まってくる人々をイメージしています。実は地球の地軸分傾いており、世界中のあらゆるところから来てくださいという思いが込められていて、この施設の核になるところを高橋さんと一緒に作っていくことができたことは本当に良かったと思っています。

正面にかけられているのれん

運営について ー利用者

― 部屋の稼働率はどうですか?またどのように集客されていますか?

季節に関わらず年間を通して高い稼働率です。リピートも多いですね。
基本的に集客はインターネットが中心で、海外OTA(オンライントラベルエージェンシー)の流入が一番多いです。なので、大多数が海外のお客様ですね。特に海外の学生さんたちの団体にはよくリピートしていただいています。海外メディアで紹介していただいたのを見ていらっしゃる方も多いです。

宿泊される方は、1泊だけというよりも、2泊以上長期滞在される方が多いです。成田空港が日本の玄関口なので、まず浅草で2〜3泊して、約1ヶ月間大阪や京都などを回って、また最後に浅草に戻ってくるという方もいらっしゃいます。今2ヶ月間日本をバイクで回っている人がいますよ(笑)
春節の時期は中華圏の方が多かったり、バケーションの時期は欧米の方が増えたりいろいろですね。

運営について ー地域との関わり

― 地域との関わりはどうですか?

商店街の皆さんからも歓迎していただいて、今は三栄町会の会員で、浅草すしや通り商店街の組合員でもあり、それぞれの集まりにも参加しています。すしや通り商店街の振興のためのイベントは企画・運営のお手伝いから入らせていただいています。

1階の居酒屋は、地元の方が使われる方も多いです。夜に日本酒を飲みに来る地域のおじいちゃんおばあちゃん、ランチでよく使ってくださる近所で働かれている方や、そういう方に利用していただいているのも1つの地域との関わりだと思います。また先程の商店街の振興事業のお手伝いをしっかりとしているのでそれも地域との関わりだと思います。

― 振興事業というのはどういったものでしょうか?

年3回「すしや通り大感謝祭」というイベントをしていて、先日やったのはマグロの解体ショーです(笑)
他には子供が遊べるワークショップや、秋はすしや通り商店街と他の商店街3つぐらいとでコラボして、浅草のまちを江戸時代のまち並みにしようというイベントをしました。これは台東区の助成金事業でエリアの回遊性を高めるために行なっています。普段あまり商店街に足を運ばない方もイベントがあるから来てくれる方も多いです。

運営について ー他の宿泊施設との違い・スタッフについて

― 他の宿泊施設との違いはありますか?

弊社がもともとホテルをメインにやっている会社ということもあって、フロントが24時間営業であることや、ベッドメイキングはこちらがしていることでしょうか。ちょっとホテルライクなステイができるというのは特徴だと思います。

― 外部評価はどうですか?

一般のお客様からはデザイン性が優れているのでおしゃれだと言っていただいています。日本酒の取り揃えも季節によって変えているので、日本酒好きの方にも楽しんでいただいています。
また、ありがたいことに各予約サイトの口コミでもかなり高評価をいただいておりまして、各旅行サイトのアワードでも評価されています。全世界の上位1%しかとれないAGODAゴールドサークルアワードも受賞させていただきました。

数々の高評価の表彰を受けられています

― 運営スタッフさんについて教えてください。

レストラン含めて今は15人ぐらいのスタッフで回しています。スタッフは全員英語が話せます。中には英語が苦手なスタッフもいますが、皆楽しく会話しています。うちの会社は、基本みんな全部やるっていうスタイルで(マルチアクターって呼んでいます)、フロントスタッフでもレストランの注文もとるし、ビールもつぐし、何でもやります(笑)

長島さんもフロント業務から修繕、部屋の価格決め、商店街の仕事など全ての業務をされているとのこと

― 運営されているUDS株式会社はどんな会社ですか?

UDSは、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」で都市を豊かにすることを目指して、国内外でまちづくりにつながる「事業企画」「設計」「店舗運営」を一気通貫で手がけています。設計・デザインと仕組みの両輪で「まちを楽しくする」ということを目的にしています。
特徴としては企画と設計と運営のメンバーがそれぞれいて、会社全体として企画・設計・運営一体で回すことで、例えば設計して終わりではなく、それをちゃんと責任を持って運営していくや、そこで出たフィードバックを次の建物に反映していく形でサイクルを回しています。なので、運営チームも最初の企画・設計段階から打ち合わせに入って、設計担当の意志や意図を汲みながら運営側の要望を伝えたり、アイデアを出し合って場所を作っていきます。そのほうが、施設の運営が始まってからも、運営担当が自分ごととして捉えていくことができるんです。完成後は運営担当が受け継いで、ときには設計担当に情報共有や相談をして、連携しながら場所を育てています。

例えば宿泊施設の場合、チェックインの15時より早く到着されて、荷物だけ預けてもう一度出かけてくる、というお客さまは多くいらっしゃいます。お預かりした荷物がフロント周りにあふれかえり、一つ一つの荷物も大きいのでさらにスペースが足りないということがよくあるんです。せっかく洗練された内装デザインでも、雑然とした見た目になってしまいますし、荷物置き場の確保は大切です。そういう、運営をやっている人にしかわからない問題を先に設計に組み込んで、デザインしようということです。

弊社はもともと住宅事業から始まっています。通常の分譲マンションは、建物がすでにできていてそこに住む人を集めるという仕組みですが、そのことに違和感を感じた弊社の創業者が、共同で住宅を購入したい人たちをまず集めて、その人たち自身で直接土地を共同購入し、工事を発注するというやり方で、みんなで家をつくっていこうということをしたんですね。それが「コーポラティブハウス」という仕組みです。当初は会社として「コーポラティブハウス」を多く手がけていたのですが、その後、ホテルや飲食などいろいろな用途に展開していきました。

2003年に弊社が初めて企画設計し、経営まで手がけたホテルが目黒にある「CLASKA」です。その後、2010年には「ホテル カンラ 京都」を、2011年には「ホテル アンテルーム 京都」を、それぞれ手がけています。最近では「MUJI HOTEL GINZA」の企画・設計・運営までを手がけており、今は全国で11箇所のホテルを運営しています。それ以外だと飲食、コワーキングスペース、住宅や学生寮、食堂など、まちづくりにつながる企画・設計・運営をやらせてもらっています。

CLASKASatoshi Minagawa

MUJI HOTEL GINZA

ホテルカンラ京都

今後の課題・展望

― 今の課題はなんでしょうか?

浅草に競合他社が増えていてコモディティ化が起きてしまっているので、その中でどうブランド化し、差別化していくかが大きな課題です。
実際に来ていただいたらちょっと他とは違うというのがわかっていただけると思うんですけど、それまでのアプローチに取り組めていないので、他との違いをどうPRしていくかが今後の課題ですね。

― 今後の展望はありますか?

商店街としてまちの回遊性を高めて、実はこっち側(浅草寺の西側のエリア)もすごくおもしろいんだよ!ということをどんどん伝えていきたいです。例えば、英語対応していないお店の英語訳のお手伝いや、インバウンド対策会議に参加したり、みんなで多言語化して世界中の人を受け入れていこうというのを商店街の一員としてやっていきたいというのが今後の展望です。
それによって世界中から毎日お客さんが来てくださっているので、私たちを媒体にして浅草のおもしろさをきちんと伝えていきたいですね。

3. 建物内のようす

フロアマップ

【1階フロント・居酒屋】
[BEFORE]

施工中の様子

[AFTER]

ホステルのフロントと飲食カウンターの空間を分けたくなかったということで、長いカウンターを半分ずつ使用する形で保健所の許可をクリアしたそう

正面の壁にはオリジナル日本酒のカップ酒がずらり

さりげなく日本文化が伝わる工夫があちこちにShiori Kawamoto

画像ギャラリー(2階~7階 宿泊ゾーン)

― 新しくしたところとあえて古いままで残したところはどこでしょうか?

基本的には床・壁・天井・梁以外はすべていったんスケルトンにしています。間仕切り壁も新しく作りました。
木のパネルが壁の半分ぐらいまで貼ってある理由は、本当は全面上まで木を貼りたかったんですけど、予算の影響ですね(笑)とりあえず一旦剥がして、白く塗って、せめてお客さまの身体が触れる高さまでは優しい木にしようということでこのようなデザインになりました。

ベッド数に対してトイレやシャワーなどの水回りの数が決まっているのでベッドルームをなるべく広くするように工夫されています

以上、長島さん・原澤さん・菓子さんにご案内いただきました。
貴重なお話をありがとうございました!

4. 研究結果まとめ

研究結果まとめ

 
昨今、全国でリーズナブルな金額で気軽に宿泊できるリノベーションのホステルやゲストハウスが増えていますが、その中で競争が激しくなっていることも事実です。

そんな中、BUNKA HOSTEL TOKYOさんは価格競争ではなく、独自の価値を高めて他との差別化を図ることを大切にされていました。特にデザイナーさんと協業し、「今の日本文化を伝えたい」というコンセプトをしっかり定めてロゴや設計・デザインに物語性を込めて作られていること、それが運営でも生かされていることが空気感からしっかり伝わってきました。

また、宿泊者を待ってお迎えするだけではなく、積極的に浅草のまちに繰り出して商店街とのつながりや関係性を築いて、観光地としてまちの魅力を高めるところまで考えて日々運営をされていることが、結果的に高評価や、高い稼働率、まちの人々の憩いの場づくりにつながっているのだと感じました。

清潔感が今の日本らしさであり、宿泊施設として快適性が重要だということがありながら、限られた予算内で古い建物をリノベーションして、いかに理想に近づけて作っていくか。数々の迷いや課題を乗り越えて今の形があるということを、お話の中から学ぶことができました。

【施設概要】
施設名称 BUNKA HOSTEL TOKYO(ブンカ ホステル トーキョー)
開業日(竣工) 2015年12月14日
開館時間 24時間(フロント)
休館日 年中無休
駐車場・駐輪場 なし
URL https://bunkahostel.jp/ja/
所在地 〒111-0032 東京都台東区浅草1丁目13−5
アクセス 東京メトロ銀座線「浅草駅」または「田原町駅」徒歩5分
都営地下鉄浅草線「浅草駅」徒歩5分 東武鉄道「浅草駅」徒歩5分 つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩1分


 
用途 ホステル(簡易宿所)
階数 地上7階
ベッド数 128床
付帯施設 居酒屋(49席)、ショップ
営業時間 平日・土曜:11:30〜14:00(ランチ)/ 14:00〜16:30(カフェ)/ 17:00〜23:00(ラストオーダー 22:30)
     日曜:11:30〜14:00(ランチ)/ 14:00〜15:30(カフェ)/ 16:00〜21:30(ラストオーダー 21:00)
敷地面積 244.31㎡
建築面積 203.66㎡
延床面積 996.55㎡
構造 鉄骨造
事業主 株式会社スペースデザイン
建物所有者 株式会社井門エンタープライズ
企画・設計・運営 UDS株式会社
ブランディング UDS株式会社、高橋理子
アートディレクション・VIデザイン 高橋理子
設計協力:TANIHA ARCHITECTS 宮崎晃吉・須藤剛
照明デザイン:スパンコール 村角千亜希
サインデザイン:ROWBOAT 田中裕亮
【既存建物基本情報】
用途 商業施設・宿泊施設
建主 ―
築年 1981年
リノベーション箇所 全体
設計期間 2015年1月〜2015年7月(約半年間)
施工期間 2015年8月〜2015年11月(約3ヶ月間)

問い合わせ先電話番号 03-5413-3941
管理運営 UDS株式会社(https://www.uds-net.co.jp/

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