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RENOMACHI CO-LABO
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リノベーターズファイルリノベーターズファイル

従来のリソースやノウハウなどを活かしつつ、独創的なアイデアや仕事手法により、
新たな価値、サービス、ネットワークを生み出している人”リノベーター”を紹介するシリーズ。

File. 02
ブランディングは地域と向き合いながら、見つけるもの。
graf代表 服部滋樹さんの仕事術(前編)

インタビュー

File. 02
ブランディングは地域と向き合いながら、見つけるもの。
graf代表 服部滋樹さんの仕事術(前編)

シリーズ第2回目は、クリエイティブディレクターでありデザイナーであり、住宅リノベーションからイベント企画運営、地方創生プロジェクトなどにも携わり、一言で表せないほど多岐にわたるお仕事をされている、graf代表の服部さんをご紹介。
今のお仕事に至った経緯や、仕事への考え方など服部さんの魅力に迫ります。

リノベーター
服部滋樹(Shigeki HATTORI) / graf
 代表
1970年生まれ、大阪府出身。graf代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgrafを立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手がけ、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。 京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。

graf(グラフ)とは?
大阪を拠点に家具の製造・販売、グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザイン、カフェの運営、食や音楽のイベント運営に至るまで生活にまつわる様々な要素をものづくりから考え実践しているクリエイティブユニット。中之島と家具工場のある豊中を拠点に、複数の業種から生まれるアイデアを実験的に試みながら、暮らしのための豊かさについて模索しています。近年では、生産者や販売者と生活者が新しい関係性を育む場づくりとしてのコミュニティ型プロジェクト「FANTASTIC MARKET」を始動させるなど、新たな活動領域を開拓しています。

公式HP http://www.graf-d3.com/
公式Facebook  https://www.facebook.com/graf.d3

大阪の中之島にgrafの事務所はあります。1階はショップ


Index
【前編】(この記事)

1. 「6人の少年探偵団から始まったgraf」― これまでの仕事の経歴
2. 「コンセプトはリサーチして見つけだすもの」― 現在の仕事の考え方
 
【後編】(次回)
3. 「物事を俯瞰し、同じ価値観を持っている人とつながっていく」
―具体事例1 ▷瀬戸内経済文化圏
―具体事例2 ▷MUSUBU SHIGA

4.「grafのリノベーション」
5.「デザインとは、愛」― これからの仕事

1. 「6人の少年探偵団から始まったgraf」― これまでの仕事の経歴

― grafを立ち上げたきっかけを教えてください。

1998年にデビューしたgraf。
そのきっかけは当時学生だった服部さんの青春時代、1993年にバブルが崩壊して社会の状況が一気に変化したこと。全てはそこから始まりました。
 
服部さん「ものづくりも含めて、バブル崩壊前は割と縦型の構造で経済が成り立っていた時代でした。若いせいかそういった社会や政治に対して文句を言っているような学生時代を送っていて、サブカルチャーや、メインストリームとは違う変革を起こすような物事に敬意を持っていました。
不動産会社や大企業が山ほど儲けていて『ん?おかしいぞ?』と思っていたら、バブルが崩壊して社会が一変した。『もしかしたら僕らに機運があるかもしらんな』と思いながら、縦割ではなく横のつながりの世界で生きることができないか、構想を始めたんです。」
 
バブル崩壊と同時に4回生になった服部さんはこのままでは就職できないと考え、まず起業を考えたそう。その後大学を卒業し、神戸大学の研究課程のポストが空いていたので教育学部の彫刻学科に移り、そこで『graf』というチームを練り上げていきます。
 
服部さん「それから神戸の震災が起きて、ますます自活しなくてはいけないとすごく意識しだしました。結局、それで神戸大学の研究課程も1年半ほど在籍したものの途中で抜けて、本格的にgrafの活動を始めました。
その当時はまだ作品をつくる活動ばかりやっていたので、メンバーは昼間アルバイトや修行をして夜集まってものをつくる、ということをずっとやっていました。
 
作品が溜まりだした時に「そろそろこれを発表したいね」ってことで展覧会を企画。
普通にギャラリーを借りても面白くないから人が集まりそうなカフェを会場にしました。その当時カフェというものがあまりなかったんですが、家具、メニュー、BGMなど何から何まで僕らがつくったものに入れ替えて展覧会を開いたんです。

月は、まわったかい。/展示
「装置としての空間」をコンセプトに行われたgrafとして初の展覧会。インスタレーション、新作家具、ビデオ+ブックレット「月は、まわったかい。」を通じて、grafの空間に対する姿勢を具現化した。

そうしたら、最初の展覧会に500人ぐらい来てくれて、「うわ!いけるかも!」といろんな可能性を持ちはじめて、1997年に物件を借りて1998年、堀江にお店をオープンしました。

堀江店・店内

その間、異業種の連中とチームを組むことを考えていました。
なぜ異業種がいいかというと、バブルが崩壊したことも理由の一つで20世紀型の経済システムってもうありえへんな、と思ったんです。だから様々なカテゴリーをミックスすることをまず考えようと。
 
つまり、多角的にものを考えることと、多方面からアクセスしてもらうにはどういうやり方がいいのかを考えていました。
 
そうするとインテリアや建築だけではなく、もっと別のジャンルの人たちがいる方がいいということで「少年探偵団」というキーワードをあげながら動き出した。それに賛同してくれたメンバーが6名いて、grafはそこからスタートしました。
集まった6名は大工・家具職人・映像作家・プロダクトデザイナー・シェフなど言葉通り異業種の集合体。そんなメンツでスタートしたんです。

20世紀って、様々なカテゴリーに分けて経済の細分化を行なってきました。細分化を行なうとどうなるかというと、末端までカテゴリー内で経済構造できるんですよね。」

― カテゴリー内の経済構造と、いうと…?

服部さん「例えば、『インテリアデザイン』と言った瞬間、『建築』の世界から新しい仕事が生まれて、インテリアの中にも『インテリアコーディネーター』とかいろいろな仕事が出てきます。そうするとインテリアをコーディネートするだけで経済が動く。だから、カテゴリーを細分化することが20世紀の構造だったんです。細かい仕事がたくさんできてその中で経済が完結するという。
 
それは20世紀型のあり方だと思うんですけど、21世紀はどうなるかを考えた時に、その細分化したものを一旦ばらしてそれぞれのボーダーを超えるという風に考えると、親和性の高いカテゴリーが組み合わさることで新しいジャンルが生まれるのでは、という考え方を持っていたんです。

「カテゴリーの細分化から新しいカテゴリーが生まれる構造」

なので、異業種でやると外側から声をかけてくれる人たちも、はじめはインテリアがきっかけで声をかけてきたけれど、実は僕たちグラフィックもできるよっていう話をすると、『あ、そしたらお店づくりお願いしたいです』みたいな話になるし、はじめは建築で問い合わせてきた人たちに、実は僕たちプログラムも開発できますよって言ったら『じゃあ運営の方も相談乗ってほしい』みたいな話になりますし・・・という感じです。
 
なので、アクセスしやすいっていうアウトカムな話と、インカムで何が必要かというので、『つくる側からの多角性』と『入ってくる側からの他視点』っていうのを用意するっていうのが、つくるところから届けるところまでの一貫性になったという感じです。」

2. 「ブランディングは地域と向き合いながら、見つけるもの」― 現在の仕事の考え方

― 多岐にわたるgrafの現在の仕事内容について教えてください。

現在、全部で8事業態(小売業・飲食業・製造業・卸業・設計業・企画・グラフィックデザイン・プロダクトデザイン)あって、収益の柱になっているのは、設計・ブランディング・企画の3軸。

grafのイベント出店の様子

▷生の声を聴き、地域と一緒に向き合いながらやっていくデザイン

服部さん「私たちは最初ものづくりでスタートしたので産地に直接呼ばれることが多かったんです。
産地に行くと組合の人たちから『この地域らしいものをデザインしてほしい』と言われます。ですが、陶芸の窯元にしても家具の産地にしても織物の産地にしても、どこでも全部やり方が似ているんです。
 
そこで僕たちは『今現在でデザインだけしてもしょうがないですよね』って言います。そうすると『どういう意味じゃそれは!』という話になって、『その土地らしいものを探るには現状で残っているものだけでは無理です』と言います。

― というと?どんな風にその先を進めていくのでしょうか。

服部さん「僕たちがラッキーなのは、職人のおじちゃんおばちゃんたちから生の声をちゃんと聞けるということです。
例えば、陶芸の窯元に行って職人さんと話をするとします。
その職人さんからは、3世代前のだいたい90年〜100年ぐらい前にやっていた話を生の声として聞くことができます。

フィールドワークの様子。奈良県で生産者の方に話を伺う。

例えば、
服部さん「三代前の社長はどういう風にこの工場をつくろうとしたんですか?」
職人さん「三代前の社長はこの技術をこういう機械生産に落とし込もうとすごく努力してたんやけど、やっぱりこの技術は機械にはできなかったから断念して機械生産ではなくてこの部分だけは手仕事として残したんだよ」
服部さん「その技術ってどっから来たんですか?」
職人さん「いやこの土地のこの土だからこそ生まれた技術なんや」
服部さん「なんでですか?」
職人さん「粘りっけ強いやろ?この土」
 
というような会話になって、技術が機械ではもう残っていないので、そのおじいちゃんがやってきたことを教えてほしいってお願いしてさらに話を聞く。
 
そして、その技術で新しいデザインを生み出すわけです。
 
やっとその時に100年以上前から続いてきたものを形に落とすことができるようになる。つまり、僕たちはデザインするまでのプロセスの整理をどういう風に構成するかを考えてきたんです。
 
そうしたら、結果的に話を聞かせていただいた引きこもっていたおじいちゃんがまた工場に出勤しだして帰りに一杯飲み屋で飲んで帰る姿を見たりしたら、まちの人たちが「あの工場元気になってきたね」みたいな話になって、いい噂が広がっていきます。
するとおじいちゃんも若い奴を育てたいエネルギーが湧いて、人も街も元気になっていくと。
 
僕たちはそういう風にして、地域と一緒に向き合いながらやっていくデザインをそもそもものづくりにおいてやってきました。」

服部さん「そういったことを続けていると、仕事を依頼された洋菓子メーカーや家具メーカーの商品開発担当の人が『服部さんがやってることはブランディングなんだよ』って教えてくれたんです。
 
そこから僕らにもできるんだ!ってことでブランディング事業が始まったという感じです。
 
地域でやってきたのはそういう経験なんですけど、関わった地域が元気になっていく様子がいい感じだったみたいで(笑)その後、行政からブランディングの仕事を依頼されるようになりだしたんです。
 
ものづくりではなく、地域をブランディングする仕事。
 
例えば、滋賀県(後編でご紹介予定です)、今取り組んでいる奈良県天理市など。
 
基本はものづくりから入っているんですけど、つくるという行為のプロセスをいかに現代に、未来に残すためにどういう整理をするのかみたいなことをやっていて、それに当てはまるところは仕事として網羅しています。」

▷コンセプトはリサーチして見つけ出すもの

服部さん「コンセプトは組み立てるものではなくて、見つけ出すものだと思っています。コンセプトメイクではなくてコンセプトリサーチをどうするかっていうのが僕らのやり方です。
 
もちろんトレンドもあるんですけど、その土地に一番必要な、その土地に合っていること、その周辺にコミュニティがあるのか、このコミュニティをどういう未来に誘いたいか、を組み立てていくっていうそんな仕事をやっています。
なので、それが紙媒体に変わったり物件のデザインに変わったりもします。
 
要するに、最初にコンセプトの整理をやるのがわりと得意だと思っています。」

― コンセプトサーチは具体的にどんな風にされてるんでしょうか?

服部さん「いろいろですね。
リサーチの手法ってだいたい5つぐらいあるんです。
図書館で文献を読むこともあれば、フィールドワークもあれば、インターネット検索もあれば、インタビューもあれば・・・あともう1個忘れてしまいました(笑)
そんな方法で全部やっていきます。僕が好きなんはフィールドワークですね。
土地の中に入って『カラーピッキング』って言ってその土地にある色を、写真を使ってピックするという手法があります。その土地にしかない特徴的なカラー、例えば山の色とか土の色、その土地で使われているペンキの色なんていうのとかも全部ピックしていって、その土地らしい色を収集するんです。
その他に、ドローンを飛ばして地形調査もやったりします。地形を読み解くのが結構おもしろくて、地形で歴史が速攻わかるんですよ。集落ってどこに最初にできるかっていうと、水が豊富なところにしか集落できないじゃないですか。そしたら山の方に住む人なんかいなくてやっぱり谷間にみんな暮らすでしょ。じゃあその谷間の形成どうなってんのかなぁとか、谷の先にどういう池ができてんねやろなぁ、というのを見ていくのがおもしろいんです。そうするとそこにしか生えない植物とか果物とかいろんなものが見えてくるんです。
そしたらそこの産品みたいなものを復興することもできればそれが生存していればそのまま地形に合ったネーミングで展開するってこともできるし、やりようはいろいろあります。
 
僕はリサーチベースをわりと大事にしているので、80%ぐらいはリサーチをベースにしてるつもりでやっています。

― そんなにリサーチされるんですね!案件によると思うのですが、どのぐらい時間をかけられるんですか?

服部さん「プロダクトは単純に2〜3ヶ月でできるものなんてほぼなくて、だいたい1年かかるんです。ほぼ半年ぐらいはリサーチに時間をかけています。一概には言えないけど、時間かかるもので言うと2年3年かかるものももちろんありますし。
 
一方で、ものにもよるんですが、フィールドワークで土地に行った瞬間にすぐ解答出るものもあったりするんですよ。『あ、OKわかった!』みたいな話でスタートするものも当然あります。
それはなんでかと言うと、その土地に既にそれに気づいて頑張っているキーマンがいるからです。すでに若手のチームを作って組織構成をうまく整理している連中がいるっていうのはほんとに宝物みたいなもので、彼らと出会った瞬間にドライブがかかるっていうのもあります。」

― リサーチには服部さん自ら行かれるんですか?

服部さん「こうやってやっていると、『服部さんとこでリサーチからデザインを始めたい』っていう若い子たちが入ってくるので、一緒に行きますね。『リサーチ行くぜ!』って言ったら『うわー!行く行く!!』みたいな感じですぐに仲間が集まります(笑)」

― 何人ぐらいで行かれるんですか?

服部さん「プロジェクトはリサーチだとだいたい5〜6人でやることが多くて、企業との場合は2名ぐらいでしょうか。
ハードの設計のリサーチと、ソフトのプログラムのリサーチと、例えば商品のリサーチみたいなこともやったりします。
だから5人ぐらいいるとソフトもハードも商品の現在の物流がどういう風に流通しているかという流れも全部把握できるので、チームで集まって組み立てていくって感じです。」

― リサーチして出た課題について、grafさんの中で完結していくようなイメージでしょうか?

服部さん「graf内で完結することもありつつ、最近はリサーチャーとして事務所を構えている方と一緒にやることもあって、具体例でいうと・・・」
 
(服部さんが取り組まれた具体例については後編で詳しくご紹介していきます!)

後半へ続きます。

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