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Theme. 02
「新築物件と中古物件」について
後編~ホームインスペクション~
講師:長嶋修[株式会社さくら事務所]

不動産ゼミナール不動産ゼミナール

住宅や建築の専門家、アナリスト、住宅販売のプロなどを
特別講師に迎え、まちづくりやリノベーションの”イマ”を研究。

特別講義

Theme. 02
「新築物件と中古物件」について
前編~それぞれのメリット・デメリット~
講師:長嶋修[株式会社さくら事務所]

特別講師:長嶋修(Osamu NAGASHIMA) / 株式会社さくら事務所創業者 不動産コンサルタント
さくら事務所創業者・不動産コンサルタント。不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人「株式会社さくら事務所」を設立。現在同社会長。また、住宅の安全性を測るホームインスペクション(住宅診断)の分野では、そのパイオニアとして、「NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会」を設立するなどして、普及・発展に務めている。

これからマイホームを持ちたい人が迷う「新築物件」と「中古物件」について、また徐々に浸透している中古物件の「ホームインスペクション」について、今回さくら事務所の長嶋修さんに特別講義をしていただきます。

渋谷駅近くにある株式会社さくら事務所(https://www.sakurajimusyo.com/


【さくら事務所(https://www.sakurajimusyo.com/)とは?】
株式会社 さくら事務所は「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を理念として活動する、業界初の個人向け総合不動産コンサルティング企業。1999年不動産コンサルタント長嶋修さんが設立。
第三者性を堅持した立場から、利害にとらわれない住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスを行なう「不動産の達人サービス」を提供している。売り手側の論理でなく、購入者の立場に立った調査報告・アドバイスを提供し、44,000組を超える実績を持っています。

前編では「新築物件と中古物件」について
後編では「ホームインスペクション」について
ご紹介します。


特別講義 Index(後編)
1. ホームインスペクションとその修繕について
2. ホームインスペクターの選び方について(選び方・予算など)
3. ホームインスペクション、リノベーションのこれから

今回の記事は、こんな人にオススメです。
・新築を買うか中古を買うか迷っている
・中古物件に興味があるけれど不安もある
・ホームインスペクション(住宅診断)について知りたい

1. ホームインスペクションとその修繕について

― 住宅診断した際に修繕箇所として挙がるのはどこが多いですか?

建物の問題は9割が水回りですね。
上下水道の配管からの水漏れと、屋根・外壁からの雨漏り。建物はとにかく水に弱いのでそれが見つけられないと建物がもたなくなります。それを重点的に見るといいですね。
あと一戸建てだったら耐震ですね。一口に耐震と言っても、例えばここが渋谷の桜丘だとすると、この辺地盤がものすごく固いんです。そこから10mぐらい離れて1本向こうの通りに行くと、砂が堆積しているところなのでよく揺れるんです。
なので、地盤が固い揺れにくいところに建っている旧耐震の建物と、揺れやすいところに建っている新耐震の建物だったら、圧倒的に地盤が硬い方が強いです。どんなに建物が頑丈につくられていても揺れやすいところにあったらあまり意味がないです。
なので、建物も大事ですがそれが建っている地盤、土地の固さもチェックするといいと思います。
それを調べるのは国土地理院の土地条件図(http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_index.html)です。
これで土地のだいたいの傾向がつかめて地域の傾向がだいたいわかります。これでどんな立地なのかというのを大雑把に把握する必要があります。

― 今までで特に大変だった修繕の事例はありますか?

大変だった場合はその物件をそもそも買わないので、弊社ではそういった事例はあまりないですが、とある他の業者の施工後にトイレの排水管からきのこが生えたことがあるそうです(笑)
築30年を超えてくると配管も取り替え時なんですけど、今水漏れしていなければそのまま表面だけきれいにしてしまうことも多いですね。そうしたら確率的に水漏れしてしまいます。

配水管からきのこが・・・(さくら事務所提供)

― すごいですね(笑)中古住宅買う上でコンクリートはかなりもつと思いますが、30年経つと配管がもうダメなんじゃないかっていうのはわからないですね。

配管の材質にもよります。
例えば築30年を超えてくると鉄系の配管が多く、それより前はステンレス系が多いです。昔のマンションは、配管が下の階の部屋の天井を通っているわけです。これを交換しようとすると、全部壊さないといけない。つまり、事実上修繕できないわけです。
もう少し古いものになると、コンクリートの中に埋まっちゃっています。これも交換できないです。この場合は配管の厚みがあれば高圧洗浄で削ることできれいにする工事のやり方だったんです。築30年〜50年ぐらいになるとこのようなことが結構あります。
ここ数十年の新しいものはフローリングとコンクリートの間に配管が入っているのでいくらでも交換できます。ということで、配管の材質やどのように工事をしているかによります。

配管イメージ

― 当時はあとでどのように修繕するかをあまり考えずにつくっていたということですね。

当時はまったくそういうこと念頭になかったと思いますね(笑)今ではあとで修繕できないというつくりには絶対にしていないですよ。

― こういう見えないところもホームインスペクターにお願いすると調べてもらえるのですね。

そうです。こういう話を不動産屋さんにしてもおそらくわからないと思います。現地を見て、場合によっては図面を見ないとわからないですね。

― ホームインスペクションをやってもらって、やっぱりもうひどすぎるから買わないっていう人と、少しの修繕でいけそうだから買いますっていう人の割合はどうですか?

データ的にはここ数年間でインスペクションをやった結果「やっぱり買いません」となった率は18%です。が、その18%の中には住宅ローンが通らなかったり親に反対されたりといろいろな理由が含まれているので、私たちの実感としてはほとんどの人が買っていきます。
よっぽどすごい欠陥が発見されない限り(笑)むしろちょっとぐらいひび割れや雨漏りがあっても納得感高く買っていくことの方が多いと思います。多かれ少なかれ何があるかわからないから購入に踏み切れない人もやっぱりいますからね。

― 修繕費や修繕期間はだいたいどれぐらいですか?

それはもう、物件によります。簡単な場合は、ひび割れを直すために表面をちょっと塗ったり、サッシや排気口にゴムのシーリング材を入れて補修することが多く費用も安いです。
例えば外壁をやり替えた方がよければ、足場を組みます。せっかく足場を組むならついでに屋根も修繕しちゃった方がいいですよね、みたいなことで工事を追加していくこともあります。
いつ頃いくらぐらいかけて直すといいですよ、というふうにその都度相談していきます。

― 修繕することになった時に、工務店はお客さんが自分で探して選ぶのですか?

工務店の紹介については、第三者性を守るために今まではまったく紹介してなかったんですけど、それもお客様に対して不親切なので、今は公平性を確保しながら何社か得意分野に合わせてご提案する風にしようかと思っています。おそらく、今年中にやると思います。

2. ホームインスペクターの選び方

― どのようにホームインスペクターを選べばいいのでしょうか。

まず第1に、実績です。構造別に専門性が分かれていますので、木造に強い人、鉄筋コンクリートに強い人など、自分自身が調べてもらいたい建物の構造に強いかどうかを調べてください。それを何件ぐらいやってきたのか。

もう1つは、コミュニケーション能力です。別に欠陥探しに行くわけではないですが、第三者があら探ししに来たんじゃないかという風に見られてしまって、売り主や新築だと工事現場の方などがみんな緊張するんです。仮に依頼者が買うことになれば、その人たちとの関係は良好にしていた方がいいので、そういった場作りや空気づくりをいい方向性をもっていける人がいいです。そういった説明がちゃんとできる人ということですね。変に専門用語を使って難しいこと言わないで簡単に説明してくれるかどうか。

そして、一番大事なのは、自分で探して自分で選んだホームインスペクターにやってもらうこと。
施工側と縁が完全に切れている方ですね。よくありがちなのは、ホームインスペクターと建設会社やホームインスペクターとリフォーム会社・不動産屋がつながっていて、下請けや上下関係、癒着関係になっていて、あとでバックマージンを渡したりすることがあるためです。
そうすると契約が壊れることを恐れて、忖度して正確な調査をされないことが考えられます。
これはアメリカでもカナダでもオーストラリアでもかつて問題になって、メディアなどで〈ホームインスペクターは自分で選ぶこと〉と癒着を防ぐように周知されています。

また、最近多いのは無料でインスペクションしますというもの。でも、無料でやってくれるわけないじゃないですか(笑)なんで無料なのかと言えば、その後にリフォーム・リノベーションの仕事が来ることを期待しているんですね。

― 一昔前の悪質なシロアリ検査みたいなものですね(笑)

そうです。要するにインスペクションやれば何らかの修繕が発生、あるいは大きいリノベーションしたいと思っているかもしれないし、何らかの仕事が取れることを期待するから無料だったりものすごく安かったりするわけですよね。それが本当に正しい調査につながると思いますか?

― はじめての方は特にホームインスペクターを自分で探すのが不安になってくると思いますが、いい探し方はありますか?

ぜひさくら事務所って言いたいところなんですけど(笑)そう言わないために、日本ホームインスペクターズ協会っていうのがあります。ここではいろいろな会社のホームインスペクターが1,700人以上登録しています。なので、ご自身のお近くのその構造に強い方をいくつかピックアップして、実績聞いたりニュアンス把握して選ぶのがいいと思いますよ。

↓長嶋さんが設立され理事長を務める協会
・NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会

https://www.jshi.org/

― どういう方がホームインスペクターを利用されていますか?

90%以上は買い主です。修繕の時期やコストをざっくり把握したいからです。売り主の依頼は5%ぐらいですね。あえてコストと時間をかけて家を売る前にあらかじめ調べようという人はめったにいないわけですね。あとは不動産業者さんからも依頼はあります。

年齢層は、住宅購入の一次取得層の方ですので30歳半ば〜40歳半ばぐらいが多いです。
日本全体の持ち家率は今だいたい60%ですが、若年層では如実に下がっています。
もっと言うと新築か中古かみたいな境目ももはやありません。50代以上の方は「やっぱり新築よね」「中古なんて人が使ったもの」「新築を買えない人が中古」というようなイメージがありますが、若年層は全然そういう感じではなく、若年の人ほど中古買ってリノベーションする方がリーズナブルで自分たちの思い通りにできるというところで、中古の比率は若い人の方が高いかもしれませんね。

20年ぐらいホームインスペクションをやっていますが、推移としては大きく伸びもせず減ることもなくっていう感じで、110%〜120%ぐらいでずっと来ていますね。
前半の頃は新築ばかりでしたがここ5年ほどは新築も中古もまんべんなく来ています。

3. ホームインスペクション、リノベーションのこれから

― 今後リノベーションやホームインスペクションはどうなっていくと思われますか?

最終的には日本の住宅市場の姿と同じで、今は新築が多いですが、将来的には圧倒的に中古物件が多くなると思いますね。それと比例してホームインスペクションも増えていくと思います。

― 最後に、リノベーションに関することで長嶋さんが注目されていることや気になっている動きなどはありますか?

リノベーションに限った話ではないですが今、求められる駅からの距離がものすごく短くなっています。今はだいたい徒歩7分。7分超えると急に売れ行きが不調になってしまうんですよ。新築マンションの用地取得担当の人も徒歩7分以上の場所はよっぽど安くない限り基本買わないですし、物件検索サイトの人たちに聞いても5年前は半分が徒歩10分だったのが、今は半分が徒歩7分です。

― 昔は検索軸として駅徒歩7分っていう数字はなかったですよね。

理由としては大きく2つあって、1つは自動車保有率が下がっていること。もう1つは共働き世帯の比率が高くなっていることです。
そうなると、やはり駅近や買い物しやすいという広い意味で利便性を求めるようになります。だから駅から徒歩15分で広い家よりも駅から3分で狭い家を選ぶということですよね。この傾向はたぶん今後もなくなることはないと思います。
これから人口がどんどん減って税収も減っていくので、自治体やインフラがもたないんですよね。例えば上下水道、ゴミ収集、除雪などの行政サービスを広い土地の中で維持できないということで今全国1700ぐらいの自治体のうち、約420の自治体がまちを縮める政策、いわゆるコンパクトシティ化を進めています。駅前・駅近を求める傾向は今後も変わらないと思います。自治体もまちを縮めながら人を集めて駅周辺に都市機能を置いていくでしょう。

もう一つ、最近の動きとして、一般の方の住むまち・自治体選びという見方が入ってきています。例えば自治体が子育てにやさしい政策に力を入れて、それが目的で人口が増えることで市の税収も増え、不動産の価値が維持できる固定資産税、都市計画税、市民税などの税収が豊富になり、さらに行政サービスを充実させることができる。それによってUターンやIターンなどとは全然関係ないところからも子育て世帯が入ってくるようになるんですね。(参考コラム:千葉県流山市の事例)
各自治体がそのような先を見据えた政策に取り組んでいるかいないかで、5年後10年後、同じ状況であるはずがないですよね。それぞれの自治体の魅力づくりっていうところも関係してくると思いますし、将来的に自治体ごとにも様々な違いが広がっていくということになると思いますね。

●自治体選び ― 千葉県流山市の事例 ―
郊外のベッドタウンで典型的なのは、少子高齢化です。
しかし、流山市では図1の通り人口が増えており、さらに図2の通り人口構成が変化し、この10年で子育て世帯が増えています。理由は、子育てにやさしい政策を行っているので自然と子育て世代が集まっているからです。
それだけではなく、10年前は市の予算規模が350億しかなかったのが、現在は200億増えて、550億になっています。人口増えたことで、固定資産税、都市計画税、市民税が増えました。税収が増えるとさらに行政サービスを充実させることができるのでさらに魅力が増えて人口が増え、税収が増えるというサイクルに変わっていきます。

[図1]流山市常住人口の推移

人口が毎年増えていることがわかります。

[図2]流山市の人口構成の変化を表したグラフ

青いグラフが現在で、黄色が10年前

[図3]

市民税・固定資産税・都市計画税が大きく増えています。

以上、長嶋さんにお話を伺いました。
貴重なお話をありがとうございました!

新築を買うか中古物件を買うか迷っていらっしゃる方や、中古物件を検討しているけれど心配なことがあって踏み出せない方に、ホームインスペクションのお話はとても参考になったのではないでしょうか?

Youtube(https://www.youtube.com/user/nagashimaosamu/)でもたくさん気になるお話をアップされているので、もっと詳しくしりたい方はぜひ一度見てみてはいかがでしょうか。

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